電気合成微生物(electro-synthetic microorganisms)
- アサマプランツ
- 2024年12月17日
- 読了時間: 3分
更新日:3月20日

電気合成微生物
(electro-synthetic microorganisms)
電気合成微生物は、電気エネルギーを利用して有機物を合成する微生物のことです。再生可能エネルギーを利用して化学物質を生産するための革新的な方法として、各業界で今後の研究が期待されています。
例えば、電気エネルギーを使って二酸化炭素を有機化合物に変換できます。これにより、石油化学製品の代替品や、バイオ燃料の生産に利用されることが、期待されています。
この分野の研究はまだ初期段階ですが、持続可能なエネルギーと化学製品の生産に大きな可能性を秘めているとされます。
酸素のような化学物質の還元反応ではなく、 導電性固体にそのまま電子を捨てる能力 を持つ微生物のことです。 この電気をつくる微生物、その名の通り、様々な有機物(例えばゴミや廃水に含まれる有機物)を酸化分解し発電を行うことができます。 そのため、省エネルギー・創エネルギー型の新しい廃棄物・廃水処理技術への利用が期待されています。
地球上の生物は、光合成生物と化学合成生物によって作り出される有機物によって支えられています。光合成生物は太陽光をエネルギーとし、化学合成生物を水素や硫黄などの化学物質をエネルギーとして利用することで二酸化炭素から糖やアミノ酸を作り出します。これらの生物は、食物連鎖の出発点となり、人間を含めた地球上の生命活動を支えています。
一方、ごく最近になり、光合成と化学合成に代わる第3の有機物を合成する生物として、電気で生きる微生物(電気合成微生物)の存在が注目を集め始めています。特に、深海底や地中などの生物が利用できるエネルギーが極端に少ない環境においては、海底を流れる電流を利用する電気合成微生物が深海生命圏の一次生産者となる可能性があると、議論されています。
深海底には電気をよく通す岩石が豊富に存在すること、そして、マグマに蓄えられた熱と化学エネルギーが岩石を介して電気エネルギーに変換されることを明らかにしました。しかし、この電流を利用して細胞増殖可能な微生物は特定されていません。また、微生物が電気エネルギーを利用する上で必要となる代謝経路も解明されていませんでした。
本研究により、鉄酸化細菌の一種であるA.ferrooxidansは、鉄イオンの他に電気をエネルギー源として利用し、増殖できることが明らかになりました。この結果は、電気が光と化学物質に続く地球上の食物連鎖を支える第3のエネルギーであることを示すと同時に、二酸化炭素の固定反応に関わる微生物代謝の多様性を示すものです。深海底に広がる電気に依存した生命圏である電気生態系を今後調査する上で、重要な知見になると期待できます。また、極めて微小な電力で生きる電気合成微生物の存在は、微小電力の利用という観点からも新たな知見を提供するものです。